株式会社HEIYA
代表取締役 佃 永喜つくだ えいきさん

鹿児島市ではクリエイティブ人材の誘致に力を入れていますが、今年度も、観光型の移住体験に加え、地域企業でのクリエイティブワーク(付加価値を創造する業務)を通して「働く街」としての鹿児島を体感していただくことで、関係人口の創出を目指すジョブケーション型の移住体験プログラムを企画しています。「住む街」としての生活環境に加え、地域企業とのクリエイティブワークを通して「働く街」としての鹿児島 を体感していただく予定です。ジョブケーションの受け入れ先企業に、事業内容や自社の魅力、鹿児島市ならではのやりがいについて語っていただきました。

Q.「株式会社HEIYA」は、どのような会社ですか?

映像制作、ブライダル、イラスト、デザイン、デジタルサイネージ運営、そしてウェブ関連など、幅広い事業を展開しています。また、一昨年の暮れからはアニメ事業も始めました。
まだアニメ制作の全てをカバーできていませんが、少しずつ成長させるため実績作りと人材教育に力を入れています。このアニメ事業については、鹿児島では他にあまり類を見ない事業だと思います。

Q.どのような経緯で設立された会社ですか?

鹿児島の高校を卒業後、東京にあるアニメの専門学校へ進学しましたが、真面目に勉強していなかったため就職出来ず(笑)。鹿児島へは、現在とは全く違う仕事をきっかけにUターンしましたが、時間の経過とともに「やっぱり自分はアニメや映像の仕事がしてみたい」と再認識し、鹿児島のクリエイティブ系の専門学校で再び勉強することを決意しました。過去の失敗や社会人経験を積んでいたお陰で、今度は真面目に勉強しましたね(笑)。専門学校を卒業後、そのまま学校の職員として、産学官連携を担当する部署で学生と企業の間を取り持つ仕事を約4年間行いました。その後、独立してフリーランスとして活動していたのですが、学校で働いていた頃にお世話になった企業などから「法人にしてもらえれば仕事が依頼しやすくなる」と言われ、それまでは法人化についてあまり考えていませんでしたが、これも何かの縁と思い、2014年に会社を設立することを決めました。専門学校の教員としての経験から、学生だけでなく企業との関わりも多くありました。そのような流れが今の形に結びついていると思います。当時のつながりに感謝しています。ちなみに専門学校では、現在も外部講師としてアニメを教えています。

Q.社員は何名で、どのような方々が在籍していますか?

現在、私を含めて15名です。そのうち県外出身者は2名で、他は鹿児島出身です。私が専門学校で教えていることもあり、新卒で入社してくる方の割合も多くなりました。求人募集は基本的に行っておらず、現時点では私との繋がりから入社してくれた方々ばかりです。通常の採用プロセスでは、応募から採用試験・面接という流れが一般的だと思いますが、弊社では先に会社を知ってもらうために、インターンやアルバイトとしてまず現場を経験してもらうことがほとんどです。今年入社してくれた新卒社員も、約1年間にわたりインターンとして週に1回会社に来ていただき、現場での経験を積んでもらいました。やはり、一緒に働き、コミュニケーションを取る中で、会社の雰囲気や個々の人柄を理解することができると思います。働き始めてから「予想と異なっていた」となると、お互いに良くないと思いますから。

Q.部門ごとに分業していますか?

大まかには分業しており、それぞれ専門分野がありつつも、私たちはみんなが複数の業務を兼任しています(笑)。例えば、アニメーター志望者に対しても、はじめは現場に行き、カメラを使って撮影してもらいます。どのようなレンズを使って、どのような画角で撮影するか、また、自分で撮影した映像をどのように編集かといった考える力を養うことで、アニメ制作における絵作りや編集を意識するということにも活かせます。
将来的には専門分野に集中できる環境を整えることも必要かもしれませんが、色々な経験を積めることは社員にとってプラスになると考えていますし、様々な事業を展開している弊社ならではの強みだと思います。実際は、業務の幅が広くなるため苦労する面もありますが(笑)。

Q.御社の特徴や魅力などを挙げるとしたら、どういうところになりますか?

まず、私たちの特徴としては、幅広い業務を行っているためゼロベースからの相談にも応じやすい会社であるというところです。
例えば、クライアントから「CMを制作したい」という相談を受けた場合、絵コンテだけ制作するのか、映像の撮影だけするのか、あるいは企画から制作まで全てを担当するか、ホームページまで一緒にリニューアルするかなど、様々な角度からプロジェクトに対応・提案することができます。
また、弊社が対応できない分野についても、私のつながりから専門家をご紹介するなどクライアントに寄り添った柔軟な対応が可能ですので、安心してご依頼いただけます。
仕事につながるかだけでなく、私自身が楽しそうなことに興味津々な性格であり(笑)、新しい技術を取り入れたいという思いも多分にあるため、「とりあえずやってみましょうか!」というスタンスでプロジェクトが進むこともあります。

Q.魅力的な建物のイラストがありますが、これは何ですか?

これは最近、鹿児島市と立地協定を結んだ「HEIYA城南スタジオ」というプロジェクトのイメージイラストです。
具体的な完成予想図ではなく、弊社が現在取り組んでいる事業や将来的に行いたいこと、挑戦したい分野などを可視化したものとなります。
このビルは数年後に解体される予定であり、その間はオーナーの許可を得て自由に使用することができるため、美しく仕上げるというよりも、実際に使用しながら造り上げていく予定です。
例えば、「自由にペンキを塗るシーンを撮りたい!」といった場面に対しても、ここならウェルカムです。私たち自身も今からどういう風になっていくのか、楽しみにしています。

Q.鹿児島で暮らしながら働くことのメリットは何だと思いますか?

鹿児島はすぐ近くに海や山があり、桜島という活火山まで身近にあるので、それらの自然を気軽に体感できるというところですかね。
例えば、アニメで山や川といった自然を描く機会は結構多いと思いますが、それらを実際に見に行けて、すぐに作品に反映できるのはかなりのメリットだと思います。
東シナ海側へ行けば綺麗な夕日が見え、屋久島へ行けばファンタジーな世界観に触れられ、種子島へ行けばロケットの打ち上げを間近で見ることもできる。そんな環境ってとても稀有だし、鹿児島でなければ体感できないと思います。
例えば、タブレット端末ひとつさえ持っていけば、その場で描くこともできるので、この自然との距離感は「描く」職業の人には最適だと思います。

Q.ジョブケーションで、こんな方が来てくれたら嬉しいなという人はいますか?

今でいえば、一番はアニメーターですね。アニメ事業を始めたばかりなので、経験を積まれたアニメーターの方が来てくれたら嬉しいです。鹿児島出身で、いまは県外でアニメーターをやっているけれど「そろそろ鹿児島に帰ろうかな」って考えている方、いらっしゃいそうですよね?(笑)
アニメーターは理想ですが、映像関係の仕事をしている方、もしくはそういった分野に興味がある方が来てくれたら嬉しいです!