株式会社FCR
代表取締役 石神和哉さん
鹿児島市ではクリエイティブ人材の誘致に力を入れていますが、今年度は従来の観光型の移住体験に加え、地域企業でのクリエイティブワーク(付加価値を創造する業務)を通して「働く街」としての鹿児島を体感していただくことで、関係人口の創出を目指すジョブケーション型の移住体験プログラムを企画しています。「住む街」としての生活環境に加え、地域企業とのクリエイティブワークを通して「働く街」としての鹿児島 を体感していただく予定です。ジョブケーションの受け入れ先企業3社(それぞれクリエイティブ、デジタル、マーケティングというテーマ)に、事業内容や自社の魅力、鹿児島市ならではのやりがいについて語っていただきました。
Q.「株式会社FCR」とは、どのような会社ですか?
弊社は母体が渕上印刷という印刷会社で、2019年に印刷とデジタルのクリエイティブを担う子会社として独立させていただきました。その名の通り、渕上クリエイティブルーム(Fuchigami Creative Room)の頭文字をとってFCRとなっていまして、WEB・印刷・企画プロモーション全般を得意とする会社になります。御承知のとおり、やはり印刷技術がアナログからデジタルへ大きく転換していく中で、今やあらゆることがスマホで完結する時代になっており、紙だけではなく、WEB、動画などを掛け合わせた”クロスメディア”で対応ができることは弊社の強みだと認識しています。
Q.社員は何名、どのような方がいらっしゃいますか?
社員が7名おりまして、業務委託契約の外部スタッフが2名、そして私を含めて総勢10名で運営している会社です。
エキスパート集団ではあるのですが、デザイナー、イラストレーター、あと取材撮影から編集までできるエディターだったり、WEBのディレクター、エンジニアといった構成です。 見方によっては個人商店なんですが、それぞれの店舗にお客さまが出入りし、たまに店主共々お店間を行き来する仲。私は世話焼きな商店街の名物オヤジといった立ち位置でしょうか(笑)。
Q.お仕事の内容はどのような感じですか?デジタル系が多いですか?
そうですね。クライアントに関しましては自治体をはじめ、各種民間企業だったり、学校、病院、大手広告・旅行代理店ですとか、個人も含めてかなり多種多様です。デジタルブックを作るポータルサイトの運営もしていまして、ここが専属のスタッフで、もうワンオフというか、一人で全部完結しちゃうんですよ。お客様はそのポータルサイト経由ですから、世界まではちょっと言い過ぎでも、日本国内あらゆるお客様がデジタルブックを作りたいということで依頼を受けますので、それが比重としては今すごく伸びています。あと私が元々観光系の仕事を多くやっていた関係もあって、首都圏の大手旅行代理店さんから、Webマガジンの九州や鹿児島の取材を一手に任されたりという仕事もありますね。単純に地域に根付いたクリエイターに仕事を依頼した方が何かと合理的だと思うのですが、東京からクルーを連れて来なくていいという経費削減な一面もあるかと。
Q.鹿児島で地域とのかかわりも多いですか?
そうですね。弊社のホームページでも掲げているのですが、ざっくり言うと「フットワークはネットワーク」ということで、私自身がいろんな場所に出向いて、色々な方と会って来たというのが結構礎になっているところがありますね。また親会社の渕上印刷が県内多くの自治体の仕事を受けている歴史もありまして、当社も各市町村様と仕事をする事も多いです。
あと鹿児島市との関係では、「かごしまSDGs推進パートナー」の登録企業として、SDGsの推進に積極的に取り組んでいまして、不定期ですがオフィス周辺の清掃をしたり、営業車の所有を撤廃しカーシェアリングやシェアサイクルの利用に切り替えたりしています。5月に産休から復帰したスタッフを推進室長に任命して、持続可能な社会づくりに貢献できる更なる取り組みを思案中です。
マークメイザンで開催されるセミナーの企画提案や、ゲスト登壇などの実績もあります。
Q.御社の特徴や魅力などを挙げるとしたら、どういうところになりますか?
私を含めて10人規模の会社ではありますが、ちょうど5月の連休明けぐらいから、こちらLi-Kaのコワーキング施設の利用を開始しまして、いち早くリモートワークに入りました。私自身、以前からそういう働き方にトライしていたのでやっと時代が追い付いて来たかという感じです。最近ではワークライフバランスみたいな形で、仕事も大事だけれども、日々の暮らしも大事だよねということで、固定のオフィスも新屋敷にはありますが、より通勤時間の短縮だったりとか、こういう鹿児島のアイコンみたいな場所にある施設なので、ステータス向上にもつながるといいかなと思っています。それらの積み重ねが最終的にスタッフの生産性向上にしっかりつながっていくといいですね。
福利厚生的にも時間外労働の削減になったり、有給休暇の取得率の向上にもつながってほしいと思いますし、時差出勤や育児短時間勤務とか、時間単位での有給取得などもできるようになっていますので、すごく働きやすいんじゃないかなと思っています。
またリアル、オンライン問わず様々なセミナーや社内外の勉強会など情報は共有しています。参加してみて、お試ししてみて、多少投資してでも使えるものはどんどん取り込んでいっています。
Q.今後の御社としての計画やビジョン、またはプロジェクトなどがありましたら教えていただけますか?
できれば年内には現在の固定のオフィスを撤廃しコワーキング施設と在宅リモートワークだけで運営したいと思っています。先々は自社オフィスとコワーキングを併設した施設へ持って行ければと。実家が山や海が近い場所なので、子供や親子向けにフィールドワークやワークショップを開催して、学校や家庭内では学べない気づきや感動を共有して地域活性化や次世代育成に繋げたいですね。
仕事的にはコロナで止まっていた離島や県外の観光案件なども動き出しまして、ワーケーションを推進しています。ありがたいことに新規営業をかけなくても、仕事が今順調に回っているというか、御紹介を頂いたりして、どんどん広がっていますね。
ただ、こういうご時世なので、色々と新しいことにトライして行きたいと思っています。
Q.今回ジョブケーションという形で人材を受け入れていただく予定ですが、参加されるクリエイティブ人材にどういったことを期待されますか?
その方の持っているスキルだったり、ノウハウを「いい刺激」として惜しみなく伝授いただきたいということが一つと、普段我々が当たり前にやっていることを逆に客観視していただいて、要するに「無駄じゃないですか」みたいな些細なことでもいいんですけれども、そういう気づきをいただければと思います。
鹿児島にはいわゆるディレクターの立ち位置で交通整理できる人が少ないんですよね。これもディレクターってすごく響きがよくて、いい言葉ではあるんですけど、それを養成する学校もなければマニュアルもないなと。浅く広く、知識が一応あった上で、どれかが深く専門性があるみたいな人材が、他の仲間にきちんと仕事を振るといったような。そういうバランスって難しいんですけどね(笑)。贅沢ですが、そんな方に来てもらえると嬉しいですね。
Q.最後に、今回の募集で、関心を持っていただけるような方々へのメッセージとして何かございますか?
コロナのせいだけでなく、今、地方でもクリエイティブのマーケットというのがものすごく変化しているように感じますが、そういった中で弊社がここをどうやって生き抜いていくか、というのも常に暗中模索している状況です。ただ、どんなに技術とかサービス・モノ・コトが進化しても、結局のところは人だったりする。つまり人間力にはかなわないのかなと思っています。そういったまだ見ぬ人間力を持っている、新しいクリエイティブな人との出会いを期待しています。
あとは「もう毎日鹿児島県民は黒豚を食べてますよ」ぐらいの勢いで、鹿児島の美味しい・楽しい・面白い所へ連れていきたいです。ディープな色も自然も、自分は生まれも育ちも鹿児島ですけれども、外に行くと結果的に鹿児島ってポテンシャルが高いんだなと思いますしね。
本当は、私が事務所に出勤する前に時々サーフィンに行っている江口浜とか、釣りにもお連れしたいですが、そこまで時間は無いかな?(笑)
移住体験プログラムの中には、観光に充てられる時間もあるかと思いますので、鹿児島クリエイティブライフを楽しんでいただければと思います。
本日はどうもありがとうございました。