
株式会社OuEN
代表取締役
伊地知
ちか さん
鹿児島市では、首都圏などに集中するクリエイティブ人材の誘致に力を入れています。このインタビュー企画では、鹿児島への移住を検討中の方や、関心をお持ちのクリエイターの皆さまに向けて、「働く街」としての鹿児島市の一端をご紹介します。
登場するのは、鹿児島市内に拠点を置くクリエイティブ関連企業の皆さま。各社の事業内容や魅力、そして鹿児島だからこそ感じられる“働きがい”について、お話を伺いました。
また、2025年12月には、観光型の移住体験に加えて、地域企業とともに実際のクリエイティブワーク(価値創造に関わる業務)に取り組んでいただく『クリエイティブジョブケーション
かごしまお試し移住プログラム』を実施予定です。
「住む街」としての鹿児島の暮らしにふれながら、「働く街」としてのリアルも体感できる貴重な機会となりますので、本インタビューがご自身のライフスタイルを見つめる一助となれば幸いです。
ぜひ、プログラムへの参加をご検討の際の参考としてもご活用ください。
Q.社名「OuEN」の由来と、その名前に込めた想いを教えてください。
OuENという社名にしてまだ、2年くらいなんですが、もともとは2015年くらいから個人事業として「SUMADO(スマドウ)」という名前でやっていました。「スマホで動画を見るだけでなく、つくって発信する時代が来るぞ」という想いを込めた名前で、実際にそうした時代になりました。法人化にあたり、これまでの延長ではなく、新たに想いを込めた社名にしたいと考えたときに浮かんだのが「OuEN」です。
読み方はそのまま「おうえん」。動画制作を軸に、地域の企業を支える広報活動をしていく中で、「私たちが企業を応援する」「私たちも応援してね」という、双方向の関係性を築きたいという気持ちを込めています。ローマ字にしたのは、やわらかく、広がりのある印象を与えたかったから。企業の“広報部”のような立場として、共に育っていける存在でありたいと思っています。
Q.動画制作から事業が始まったとのことですが、きっかけは何だったのでしょう?
10年ほど前、子ども向けにプログラミングを教えていたのですが、子どもたちの成果を発表する場が少ないと感じていました。そこでオンラインでの発表会を企画し、動画で発信してみたのが最初のきっかけです。
そのときに「動画ってすごい!」と心から思いました。スマホ1台でも撮影や編集ができて、自分の思いや情報を多くの人に届けられる。まだ今ほど便利なアプリはなかったですが、複数のツールを使って工夫しながら動画をつくるのが楽しくて。最初はワークショップで教える側でしたが、やがて制作そのものを依頼されるようになり、気づけば事業の柱になっていました。

Q.現在は動画以外の仕事も増えているそうですね。
はい、採用PR動画を中心に、採用パンフレットやSNS用の画像、プレゼン資料のデザイン、ホームページ制作の相談まで、仕事の幅はかなり広がっています。動画から始まりましたが、企業の課題に合わせて必要なものをご提案・制作しているうちに、広報全体を任せていただくケースが増えていきました。
一社一社に深く関わるスタイルなので、企画やヒアリング段階から並走し、納品後の活用方法まで含めて伴走します。その企業にとって一番効果的な見せ方、伝え方を一緒に考えながら形にしています。
Q.チームは現在何名で構成されていますか?
現在は私を含めて5名です。鹿児島出身が多いですが、東京から移住してきたメンバーもいます。彼女は、もともと趣味としてスマホで動画をつくっていたのですが、鹿児島に移住したタイミングでOuEN(当時はSUMADO)の求人を見つけて応募してくれました。こういう偶然の出会いが、新たなチームづくりにつながっています。
スタッフそれぞれ得意な領域を持ちつつ、動画、デザイン、軽いコーディングまで幅広く対応できるようにしていて、なるべくマルチに動ける体制を心がけています。

Q.仕事とプライベートのバランスについて、どのように考えていますか?
オン・オフをはっきり分けるというよりは、グラデーションのように捉えています。たとえば旅行先で素敵なロゴを見かけて、「こういうデザインいいな」とインスピレーションを得たり、街の看板や広告のレイアウトから学ぶこともあります。
私自身、生活そのものがクリエイティブに直結していると感じています。だからこそ「生活を大事にしながら、仕事も楽しむ」という感覚を大切にしています。
Q.OuENが大切にしている姿勢や、強みと感じていることはありますか?
当たり前のことですが、「自分ごと」として仕事に向き合うことをとても大切にしています。作品をつくるのではなく、クライアントの一員になったつもりで、理念やビジョンを共有し、想いを形にしていく。そういうスタンスで取り組んでいます。
その分、ヒアリングにも力を入れています。デザインや動画の技術だけではなく、その企業が大事にしていることを理解して、言葉になっていない部分まで汲み取っていく。だからこそ、「よくわかってくれている」と信頼していただけるのだと思います。

Q.今後のビジョンについて教えてください。
これからの時代は、ひとつのことだけを極めるよりも、「広く、深く、多才であること」が求められると感じています。
例えば動画ひとつとっても、撮影・編集・企画・シナリオなど多くの工程があります。それぞれを分業するよりも、なるべく一人が一連の流れを理解し対応できる方が、柔軟に動けるし、クライアントにも価値を提供できる。チーム全体がそうしたマインドを持ち、幅広い力を身につけていける組織でありたいと思っています。
Q.地方でクリエイティブな仕事をしたいと考えている人に、メッセージをお願いします。
地方だからこそできることが、きっとたくさんあると思います。都市のように大規模な案件は少ないかもしれませんが、地方には暮らしの余白があり、そこに豊かさがあります。
私自身も島への移住に憧れがあり、のびのびとした生活環境の中で先端的な仕事ができたら、と思ったことがあります。今は鹿児島を拠点にしつつ、ときどき東京や大阪に行って刺激をもらって帰ってくるというスタンスで、ちょうどよいバランスがとれています。
都会での経験を持ち帰り、地方で活かす。そんな働き方も可能ですし、むしろ今の時代に合っていると感じています。仕事も暮らしもクリエイティブに創っていく「オールクリエイティブ」の精神が大切だと思っています。新しい土地で新しい働き方をしてみたいと思っている方には、ぜひ一歩踏み出してみてほしいですね。

株式会社OuEN
https://ouen-allc.co.jp/
聴き手:ALUHI 小林史和