【クリエイター対談 vol.1 - 伊地知裕貴 × 小城智康】

鹿児島市ではクリエイティブ産業振興の一環としてクリエイターの移住促進に力を入れています。2022年度は、ここ数年で鹿児島にUIJターンしたクリエイターの方々に2人ずつ登場していただき、鹿児島へのUIJターンを経験した中でのおすすめポイント、苦労話やクリエイティブシーンについて対談していただいています。4か月連続、全4回の動画で生の声をお届けしていますので、是非ご覧ください。

公開日時:2022/06/29

伊地知裕貴

鹿児島出身。富山大学芸術文化学部デザイン情報コース卒業後、ORGANデザイン室(岐阜)、Studio Shirotani(長崎)、長谷川陶磁器工房(長崎)を経て、鹿児島へUターン。
九州・鹿児島を拠点にデザインを手がける「ZERO HOURS DESIGN STUDIO」を設立しCIVI、ブランディング、プロダクトデザイン、グラフィックデザイン(広告物、パッケージ、ウェブサイト)を手がけている。
0hoursdesignstudio.com

小城智康

1985年鹿児島生まれ。ジョリージョーコッピー(jorijokoppy)というペンネーム。高校卒業後福岡、愛知、大阪を経て鹿児島にUターン。
大阪でグラフィックデザインの仕事をしていたこともあり、関西と鹿児島の2拠点でデザイナー兼イラストレーターとして活動。
かごしま弁商店デザイン担当。AIKAGOSHIMA Project(西日本印刷)参加(グッズ制作)。
南日本新聞にてオセモコかごしま弁クイズイラスト担当。
https://jorijokoppy.com/

■現在の活動とライフスタイルなどについて

伊地知:皆さん、こんにちは。ゼロアワーズデザインスタジオの伊地知裕貴といいます。今は鹿児島でデザイナーをやっています。デザインのジャンルとしてはロゴのデザイン、グラフィック、WEB、パッケージデザイン、プロダクトデザイン、ショップのインテリア等色々なジャンルのデザインをやっています。
直近の作品としてはロゴなんですけれども、鹿児島空港の50周年記念のものですね。自分の会社としてコンペで採用していただきました。よろしくお願いします。

小城:皆さん、こんにちは。ジョリー・ジョー・コッピーというペンネームでイラストレーターをしている小城と申します。主な仕事としては、イラストを中心に新聞の挿絵、漫画、企業のパンフレットに入れるイラストなどを作っています。また、元々大阪の洋菓子専門のデザイン会社にいたので、鹿児島にいながら大阪の洋菓子のパッケージやポスター、チラシなど販促物もやったりしております。
あとはさっき伊地知君が言った通り、鹿児島空港の50周年記念ロゴにキャラクターを任せてもらったのが採用されたりしております。よろしくお願いします。

■UIJターンのきっかけについて

伊地知:コッピーと私は二人ともUターンしていて、しかもお互い、同じ小中学校の時の同級生なんですね。
コッピーはUターンというと、どこで働いていてどういう理由で帰って来たんですか?

小城:そうですね。僕は元々高校卒業後、福岡に出て、そこから大阪に行って、愛知に行って、また大阪に戻って働いていました。今度そろそろ海外に行きたいなと思ってたところで、母がちょっと病気になってしまって、看病のために鹿児島に帰ってきたんです。本当は母が完治したので、また県外とか海外にも行けるんですけど、思った以上に鹿児島の居心地が良くてですね。そのままずっと過ごして今に至るっていう感じですね。
伊地知君は?

伊地知:自分は鹿児島を出て進学した大学が富山だったんです。そこで美術とかデザインの勉強をして、その後岐阜で働き始めました。その岐阜のデザイン事務所でちょっと思うところもあって、長崎のデザイン事務所に移りました。そこでデザインのプロジェクトに関わったりしていましたが、そのデザイン事務所の人の紹介もあって、長崎の諫早にあるモノ作りをしているクラフトデザイナー方のところに住み込みで働き、国内外の色々なプロジェクト経験をして鹿児島に帰ってきたってとこなのです。その長崎での経験から地方にいながらでも海外とのプロジェクトも出来るんだという事を学びました。
自分は兄が二人いるんですけど、どっちも県外に出ていて「誰が親の面倒を見るんだ」とそういう事も感じたりしてました。同時に長崎での経験もあり、地元に帰っても鹿児島という枠にとどまらず、デザインで色々なことが出来たりするんじゃないかなとも思っていました。それで鹿児島に帰って来ようと30歳の頃に思ったのがきっかけですね。

■鹿児島での暮らしについて

伊地知:実際、コッピーはUターンをして、町の暮らしについて感じたことって、何かありますか?

小城:そうですね。やっぱり鹿児島に帰ってきて、改めて思ったのは、一番は温泉。至るところに温泉があると。県外ではなかなか温泉を探しても、温泉じゃなくて大衆浴場みたいなところですよね。あとは桜島の灰ですかね。ちょうどドカ灰とか降った時期だったので、「あれ、昔こんな凄かったっけ」みたいな事を思いましたね。
それと居酒屋。普通にお店に行って出てくる刺し身がめっちゃ美味しいのでびっくりしましたね。「凄い新鮮だな、さすが鹿児島」だと。伊地知さんはどうですか?

伊地知:鹿児島は「食」ですね。県外へ出るまでは何も思わなかったけれど、県外に行ったら、当たり前ですが鳥刺しとか食べられないという事にも気付かされました。それとやっぱり「温泉」ですね。温泉のある暮らしって当たり前のように思っていたけれど、県外では意外とないなっていうことも思いました。でも長崎へ行った時、温泉街があって、そこでの温泉のある暮らしっていうものを体験して、良さを再確認しました。鹿児島に帰ってきて温泉のあるところで暮らすというのは、やっぱりいいんだなと思うんですね。

■仕事について

伊地知:実際の仕事面ですが、クリエイティブワークについては、何か感じたりしてますか?

小城:そうですね。やっぱり鹿児島っていうのは良くも悪くも狭いじゃないですか。知り合いと知り合いが近いと言うか、結構身近な人に紹介をいただくとか、紹介のまた紹介でつながりやすいっていう事で仕事につながる事もある。そういう所がいい所ですかね。逆に知り合いが増えすぎて、同じ業界なのでコンペの時とかにバッティングしちゃったりとか、そういうのがちょっと難しいなというのはありますよね。

伊地知:確かに距離の近さっていうのは、他の地方もそうなのかもしれないけど、鹿児島は顕著というか、凄く感じるなというのはありますね。悪い面もあったりするけれども、鹿児島って社長クラスの人達とも凄く近しくなれるというか。そういったところもあるので、担当者挟んで話するんじゃなくて、直接デザインとか社長自身と話が出来る。だから決定も早かったりして。何かプレゼンしたら、「じゃ、もっとこういうことしましょう」というような社長からもアイデアを出してもらえるとか。やる気ある人と出来ることが増えるって言うか、任せてもらえることも増えたりする。そういったところでの距離の近さっていうのも感じたりするなと思いますね。
逆にちょっと難しいというところだと、やっぱ鹿児島はちょっと「なあなあ」なところがありますよね。費用面でも鹿児島価格って言われる所もあるから、ちゃんと予算取ってくれる人もいるんですが、取らないクライアントってなかなか本当に予算を取ってなかったりとかするんですよね。

小城:最初にやっぱりきちっと説明しておかないと、僕もイラストレーターでイラストの依頼を受けたつもりが、実はデザインも入ってたりとか。そういう事がたまにあったりする。

伊地知:しかも「この予算ですか?」って事もあったり。そういうところはやっぱりちょっと難しいと感じることもありますね。

■未来について

伊地知:鹿児島で暮らす中でクリエイティブな仕事は今後もやっていくとは思いますが、今後のコッピーの活動や、ビジョンについて何かあったりしますか?

小城:そうですね。僕は今、依頼を受けてイラストを描いたりしてるんですけど、元々絵本とか漫画を描くのが好きなので、自分のオリジナル作品をどんどん作っていきたいなって思っています。それとオリジナルを作るんだったら、せっかく鹿児島に色んなところを経て戻ってきたので、鹿児島の魅力がちょっとは分かってきたし、そういうものを自分のイラストとか漫画とか絵本で発信していきたいなと思いますね。
あとはちょうど去年ぐらいから専門学校の講師も週2で勤めていて、結構若い子たちと触れ合う機会があるので、そういう若い子達をもっと県外とかあわよくば世界とかで戦えるような子達に育てていければなという思いはちょっとありますね。

伊地知:鹿児島って色々なコンテンツもあったり、他にもまだまだ発信されていないような「モノづくり」とかもあったりしますよね。自分の長崎時代とかにしても、クラフトデザイナーの元で色々な発信をして来ました。鹿児島にある「モノづくり」や色々な「食」などについて、自分自身で発掘して、オリジナルで発信していくような事をやっていきたいなと思っています。
他にも「食」に携わる「生産者」だったり、「映像」とか「建築」とか本当にクリエイティブでやっている人たちとの交流も自分は出てきたりしてます。そういう人たちが集まって、鹿児島ならではのものが何か出来たり、それを県外だけではなく海外に発信とか(考えている)。そういう鹿児島クリエイティブって言うか、鹿児島ブランドみたいな形で鹿児島のいいものを打ち出していく。鹿児島の新しい価値っていうか、やっぱり鹿児島でやるんだったら何かそういうことをやっていきたいなと自分も思っているところです。

■動画をご覧の皆様へ

伊地知:皆さんご覧いただきありがとうございます。今、言ったように、色々なクリエイティブな人とかと関わったりしながら、何かもっと外に発信していけるような事もやっていきたいと思っています。また、自分の案件の中で、「ちょっと人が足りないな」と感じたり、「知らないジャンルの何かを組み合わせることで、もっとこういう表現ができるのではないか」という悩みもあったりするので、そう言う面でも、もっと外から人が入ってきて、一緒に組んで盛り上げていけたらいいな、と思っています。どこかでご一緒出来たら、よろしくお願いします。

小城:ご覧くださってどうもありがとうございます。僕が10年ぐらい前に鹿児島に帰って来た時は、どんな繋がりができるんだろうとか、不安な面もあったんです。でも意外と結構いろんな団体とか、面白い人がたくさんいたりして、僕自身もNPO法人マンガプロジェクト鹿児島とか、鹿児島弁検定協会とか、そういう方々とのつながりができて、そこからいろんな仕事につながったり、面白いイベントとかに参加できたりしました。それ以外でも知らない人たちがいろいろな面白いことをしていたりするので、ぜひ鹿児島に来た時は、そういう方たちに声をかけてくれたらありがたいなと思います。あと、僕自身もイラストのグループ展とかいろんな活動をしていますので、もし見かけたらぜひお声をおかけください。どうもありがとうございました。

伊地知:ありがとうございました。