【クリエイターズトーク vol.11- タブチナオコ】

左:小林史和さん 右:タブチナオコさん

公開日時:2025/01/24

田渕尚子/atelier NiwAtocO

大阪府出身。2013年よりろうそく作家として活動。2019年に、鹿児島の自然に惹かれて、夫の故郷でもある鹿児島に移住。Japan Candle Artist Award 2021準グランプリ受賞。現在は、鹿児島で見た色や桜島の火山灰を用いたろうそくの制作、講師、イベントプロデュースなどを行っている。
https://www.instagram.com/atelier_niwatoco/

小林:こんにちは!
鹿児島クリエイティブライフです。この番組は鹿児島市へのクリエイター移住促進の一環として鹿児島市に既に移住したクリエイターや、鹿児島市に関わるクリエイティブ関連の方などをお招きしてお話を伺っていく番組です。進行の小林です。よろしくお願いします。
今回のゲストは大阪から鹿児島に移住してきたロウソク作家のタブチさんにお越しいただきました。よろしくお願いします。

タブチ:よろしくお願いします。

小林:早速ですが、自己紹介をお願いします。

タブチ:atelier NiwAtocO(アトリエ ニワトコ)のタブチ ナオコといいます。大阪出身で、今やっていることはロウソクをつくる「作家」として、キャンドル教室の講師と、あとは明かりの空間をつくるという「空間装飾」ということをやっています。
よろしくお願いします。

■キャンドルをつくることについて

小林:ロウソクをつくるってすごく難しそうな感じはするんですけど・・・

タブチ:そうですね(笑)簡単に言ってしまうと、ロウを溶かして芯を型に流し入れて、芯入れてたら火がつくんですけど、でも実際は、ロウの種類も何十種類何百種類とあって、芯の種類も何百種類ってあるんですけど、それをちゃんと選んで安全なキャンドルをつくるっていうのが大切になってきます。ですので結構難しいです。

小林:形とか色とか、どう溶けていくかなども計算しながらつくってるんですか?

タブチ:もちろん!そこを大切にしています。

キャンドル作品1

■鹿児島に移住するきっかけ

小林:もともと大阪出身ということなんですけど、なぜ鹿児島に引っ越してくることになったのか、きっかけがあったんですか?

タブチ:きっかけは、主人が鹿児島の錦江町という大隅半島の出身で。最初は年末年始に鹿児島空港から錦江町直行で、(旦那さんの)父親の運転で海沿いを走っていたんですけど、そのうちに自然がすごいいいなって思って。大隅半島の自然が大好きなんです。
それで結婚して5年ぐらい経った時に、私が急に「鹿児島住みたい!」って言って。自然に惹かれてしまって。それで「じゃあ行っちゃう?」みたいな感じで来ました!

小林:旦那さんが元々鹿児島の人で、旦那さんの故郷に年に何回か来てるうちに、鹿児島がいいなって思うようになって、ある日突然「あ!鹿児島だ」となったのですね(笑)

タブチ:そうです(笑)

小林:(何度か帰省で)来ててる時は「住もう!」とはあまり思ってなかったんですか?

タブチ:思ってなかったですね。でも、たまたま一番初めに来た時が桜島が噴火した日で「あっ!噴火本当にしてるんだ!」となって、でも「みんな慌てないの?」みたいな状態で(笑)でも、それがすごく面白くて。ここで暮らしたら普通なんだな、これが。といった感じで、興味はすごくあって。
それから何年も(帰省で)来るうちに、徐々に「ちょっと住んでもいいかも!?」がどんどん強くなっていったって感じです。

小林:なるほど。それは奥さんの方から鹿児島に住みたい!と旦那さんに言ったわけじゃないですか。旦那さんの反応ってどうだったのですか?

タブチ:ちょうどそのぐらいのタイミングで、主人も(県外は)もうそろそろいいかなって思ったのも少しあったみたいで。じゃあ引っ越す?みたいな。

小林:ちょうど旦那さんの気持ち的にもそろそろ鹿児島もありかなって思い始めた時期に、、

タブチ:たまたま私がそこから鹿児島に住みたい!っていって。

小林:そこから2人のノリというか。

タブチ:そうですね!そこから半年後にはもう引っ越したって感じです(笑)

小林:早!(笑)

タブチ:1年もしないうちに引っ越しました!

小林:それはリモートというか、ネットとかで家のことを探したりとか、電話で問い合わせたりしたのですか?

タブチ:いや。実際に引っ越そう!となって、とりあえず家探しに行こうみたいな感じでした。

小林:じゃあ、もうとりあえず鹿児島に行く?実家にも寄れるしね、みたいな。

タブチ:そうですね(笑)

小林:すごい行動力(笑)それが何年ぐらい前ですか?

タブチ:それがちょうど5年前です。

■大阪と鹿児島の仕事や暮らしのギャップは?

小林:それじゃあ、けっこう鹿児島に住んだなぁみたいな感じですね。なるほど。
では、もともとキャンドル作家としてお仕事されていて、鹿児島にきてからも続けているわけじゃないですか。大阪の時のキャンドルの仕事と、鹿児島に来てからのキャンドルの仕事で“ギャップ”を感じたことやビックリした!みたいなことあります?

タブチ:大阪にいる頃は教室をやってなくて、作家としてだったんですけど。どちらかというと都会ってせかせかしてるので「灯す」という概念があまりなくて。
灯さないキャンドルといわれる香りだけを楽しむ「アロマワックスサシェ」というのがあるんですけど、どちらかというとそればっかり売れてるという状態で。でもこっちにきて一番最初に出店した時に、それは全然売れずにキャンドルが欲しいっていう人がすごく多くて。
やっぱり鹿児島って「灯す」人が多いんだな!ということに違いを感じました。

小林:時間の流れとか生活感みたいなものかもですね。大阪だとみなさん忙しいんですよね。タブチさんは暮らしが大阪から鹿児島に変わったわけですが、生活面でも鹿児島はちょっとのんびりしてるなというのは感じますか?

タブチ:感じますね。やっぱりちょっと大阪にいる頃は「あれやらなきゃ、次これしなきゃ」みたいな状態で、人の目もやっぱり色々なところからあるし、結構窮屈だったりとか、ちょっとしんどいなって思うことも多かったんです。でもこっちに来てからは、人の目はあるんですけど「いい人の目」というか。
しんどいって思うわけじゃなくて、ちょっとのんびりできるなみたいな「気持ちのゆとりとか余裕」がこっちに来てからすごくできました。

■移住後の作品の変化について

小林:それは、例えば創作活動につながってくることもありますか?

タブチ:もちろんです!もう全然変わりましたね、作風。
こっちにきてから、今つくってるのが(作品に)鹿児島の自然をそのまま映し込むということを結構してるんです。なんか鹿児島で見た夕焼けの色を表したキャンドルだったり、海の色だったり。
あとやっぱり錦江湾と東シナ海でも若干色が違ったりするじゃないですか!そういうのとかだったり。あとは桜島大好きなので桜島の灰を使ったキャンドルだったり、石のキャンドルだったり。やっぱりこっちに来なかったら作ってないので。大阪にいる頃はどちらかというと、もうなんかあの売れたらいいやじゃないけれど「売れるものをつくればいいのかな」っていう感覚があったので。

キャンドル作品2

小林:それは、香りが好まれるのであれば香りをメインに・・・

タブチ:そうですね。

小林:では、今は自分の作りたいものや表現したいものを、大阪の時に比べたら自由にできてるような感じですね。それはだいぶ変わりましたね!

タブチ:だいぶ変わりました!

■働き方の変化は?

小林:大阪と鹿児島でどっちがいいっていうのを決められないと思うんですけど、自分にどっちの生活の方が合ってるなみたいなのは、この5年間で感じていますか?

タブチ:自分に合ってるのは、もう完全に鹿児島の方が合ってると思うんです。たまに実家が大阪にあるので行って、例えば大阪とか関東で、自分が鹿児島で作ってるものを販売しに行くっていうのがすごく合ってるなって思います。

小林:逆輸入みたい感じ?

タブチ:そんな感じです。

小林:鹿児島でできたものをまた自分の地元に持って帰るっていうのも楽しそうですね。

タブチ:楽しいですね。

■鹿児島市に興味があるクリエイティブの方にひとこと

小林:そういうことが自分としては合ってるなぁみたいな感覚はなんとなくわかります。
僕自身、山梨出身なんですけど。山梨に帰るっていうよりは鹿児島から山梨に向かってちょっとなんか石を投げるみたいな・・・そういう方がちょっと自分の性に合ってるなっていうのは、すごく気持ちがわかります。そうですか。
この動画を見て「ちょっと鹿児島で暮らしてみたい」と思うクリエイターの方もいると思うので、そういう方に最後にこのメッセージというか「こういう気持ちや心持ちできたら楽しいよ!」などあればお願いします。

タブチ:私も主人もそうなんですけど、とりあえず行っちゃえば!?っていうところがあって。特に鹿児島に来てからなんですけど、人のつながりが鹿児島ってすごいじゃないですか。なので一回行動したら、そこで見てくださった方が「じゃあこの人紹介するよ」といって紹介してくださったりということがすごく多くて。なので、そういうところで結構ハードルというかすごい下がったというか。
関西にいる頃は例えば自分がどれだけ頑張ってても「まあ、そういう人いるよね」みたいな(関わりが薄い)感じでしか見てもらえなかったんですけど、でもやっぱり(鹿児島は)人が人を呼んできてくださるというか、そういう縁がすごくつながりやすかったりするので。
やっぱり移住ってなるとハードルすごく高くなるんですけど、そんな心構えなくてもいいかもっていうのは思います。

小林:確かにそうですね!ちょっと遊びにくるぐらいから始めるとすごくいいですよね!!
ご自身で鹿児島市内にアトリエというかお店をお持ちですが場所はどこにありますか?

タブチ:場所は、鹿児島市から日置市に行く道中の「松元」っていうところなんです。駅でいうと「上伊集院駅から徒歩4分」ぐらいです。

小林:近いですね!じゃあ鹿児島市に来た時に、電車(JR)を使って行くことも可能ですね。じゃあちょっと行ってみようかな!?と思ってる方が鹿児島に来た時にノリで立ち寄ってもいい場所ですか?

タブチ:はい、もちろんです。

小林:お店の情報はどこでわかりますか?

タブチ:インスタグラムの「灯と暮らし」って調べてもらえたら出てきます。

小林:そこで今日空いてるかなとチェックして「来ちゃった!」みたいな感じで(笑)

タブチ:はい!「移住の話を聞きたいです」と言ってくださったら、ものすごく喋れると思うので(笑)

小林:確かに!すごい参考になる意見が聞けると思います。短い時間でしたが今日は貴重なお話をたくさん聞かせていただきありがとうございました。

小林:鹿児島市ではクリエイターの移住促進に力を入れております。鹿児島のクリエイティブ関連のイベントや補助制度など、詳しくは「鹿児島クリエイティブライフ」で検索していただければ情報がでてきます。
今回はこの辺でお別れとなります。それではまた次回お会いいたしましょう。
ありがとうございました!